国民文化祭だより 5

公開日 2007年06月11日

5月19日(土)午後2時から、第22回国民文化祭プレ事業「今山農村舞台春公演」が新緑に囲まれた今宮神社境内にある今山農村舞台で開催されました。町内外から訪れた家族連れや愛好家ら約300人が、阿波人形浄瑠璃や邦楽演奏を楽しみました。

まず、沢市とお里の夫婦の愛情物語「壺坂観音霊験記」を勝浦高校民芸部が、つづいて仙台藩・伊達家のお家騒動を題材に、母と子の情愛を描いた「伽羅先代萩(めいぼくせんだいはぎ)」を勝浦座がそれぞれ上演しました。

特に「伽羅先代萩」は勝浦座が上演する数ある外題の中でも得意とする一つであり、太夫の語りと三味線に合わせて人形が操られると観客は舞台に見入っていました。そして重要な場面では、かけ声や盛んな拍手が送られました。

また、徳島市の「徳島邦楽集団」も琴、尺八の演奏と、徳島市出身の三木稔氏作曲オペラ「鶴」を上演しました。

 

当日はときおり雨のぱらつく空模様で、午後5時を過ぎると周りも薄暗くなり、鶴を演じた玉西和代さんの姿はスポットライトに浮かび上がり幻想的で美しく、艶のある歌声が農村舞台を包む木立の中に響いていました。

 

 

 

春公演後記

 

今山農村舞台では2002年の復活公演から、舞台の特徴である船底舞台では人形浄瑠璃と、平舞台では様々なジャンルの方による出演で、楽しい雰囲気のなか農村舞台の魅力を探る公演を行ってきた。

今回第5回春公演として、クラブ員数も多くなり元気な勝浦高校民芸部と勝浦座による人形浄瑠璃の上演、平舞台では徳島邦楽集団によるミニコンサートと蓬莱泰三作、三木稔作曲の歌楽「鶴」の初演を行った。

今年は国民文化祭が開催されるため、春秋の定期公演も休みその準備をしようということになった。国民文化祭の出演交渉をしていた隣の部屋で練習をしていたのが、徳島邦楽集団の「鶴」を演じた玉西和代さん母子であった。

これは十年来準備してきた作品であり、三木氏も農村舞台での初公演を希望しているとのこと。玉西さんの「一度考えていただけませんか」の言葉とその練習を見て、保存会の仲間と相談のうえ今回の春公演となった。

肌寒い午後で天候も心配されたが、大勢の方にご来場いただき保存会一同お礼を申しあげるとともに、国民文化祭「今山農村舞台公演」の成功に向け取り組んでいく考えだ。

 

今山農村舞台保存会会長 山本靖博

勝浦座「伽羅先代萩」

勝浦座「伽羅先代萩」_s

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玉西和代さん オペラ「鶴」

玉西和代さん オペラ「鶴」_s

 

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