田舎暮らしでは、明確な目的意識を

長谷川雅之さん(56)

2012年大阪府豊能郡豊能町より移住

単身移住新規就農


自分の農地のみかんの様子をみながら

食の安心、安全にといったものに関心があって、当初は自然栽培で野菜を作りたいと考えていました。日本各地、様々な場所で自分の理想に合った場所を探していたところ、勝浦町に行きあたりました。全国を回っているなかで、みかん栽培に関心を持ったのですが、他の産地に比べれば、新規参入しやすかったことが決め手となりました。

農地は、お世話になっているみかん生産者の方からの紹介で、5年契約でお借りすることができました。現在は6反の農地に約370本のみかんとすだち、はっさく、柿が植わっています。みかんの栽培に関しては、ふれあいの里さかもとで開催している「みかん組」という、栽培技術伝達の会で学びました。今年で収穫は3年目となりますが、収穫の際に「みかん組」の方から援農いただいたりなど、様々な面で手助けいただいています。ただ、契約が5年ということで樹勢が弱くなった木の更新をしたいのですが、延長契約できなかった時のことを考えると、それができないという点はジレンマを感じるところです。

田舎ならたいていそうだと思いますが、都市なら不動産屋が世話してくれる住居や農地などを、当初は誰に相談していいのか分からないことに困りました。結果、人の縁をつないで、こうして無事就農することができましたが、思い通りにいかないことも多く、気持ちが折れそうになることもありました。それでも「ここでみかんを作りたい」という気持ちがブレなかったからこそ、移住も就農も実現できたのだと思います。移住して、そこで何をしたいのか?という目的意識が明確でなければ、田舎への移住は難しいかもしれませんね。また、私のように新規就農する際には、しばらくは収入がないことを見越して、事前に十分な貯蓄をされることも必要です。

勝浦町は、都市と隣接していることもあって、買い物に行くのにとても便利です。車で20分も走れば都市部に出ることができます。田舎すぎない田舎、といった比較的便利な場所で住んでみたい方には、ピッタリの土地ではないでしょうか?


6反の農地を一人で世話をする長谷川さん